最高裁判例
事件番号 昭和35(オ)1066
事件名 家屋収去、土地明渡請求
裁判年月日 昭和37年2月6日

原判決挙示の証拠による原審の事実認定は、これを是認し得る。
上告人が本件建物を増改築したとの所論事実は、原審の確定しない所である。したがつて、論旨中、この事実を前提とする主張は、原判決に添わないものであるから、上告適法の理由とならない。
而して、原審確定の右事実関係の下においては、被上告人の長男が医学修業中であり、卒業後本件土地にて医家の業務を開始することを予定して居つたので、地主であり、賃貸人である被上告人が、このことを考慮し、賃貸借の期間を右医業開始確定の時までとするため、本件土地上に建築せらるべき建物を戦災復旧用建坪一五坪のバラツク住宅と限定し、特に条件を一時使用とする旨を契約書に明記してなされた本件土地の賃貸借契約は、たとえ右医家開業の時期が明確に定つて居らなかつたため、一応、賃貸借期間を三年と定め、その後医業開始に至らなかつたので、その期間を更新し或はその間に賃料を増額した事迹があつたとしても、これを一時使用のためのものとなすに妨げない。
原審の判断も亦以上と同旨であつて、正当である。したがつて原判決に所論の違法はない。
論旨はすべてこれを採用し得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

参照法条 借地法9条
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