最高裁判例
事件番号 昭和34(オ)502
事件名 建物收去土地明渡請求
裁判年月日 昭和37年6月6日

財産権(憲法29条)、とくに所有権は尊重されなければならないが、今日においては、所有権といえども絶対的なものではなく、その内容は公共の福祉に適合するように法律によつて定められるべきことは憲法の要請するところであり、民法も、所有者の権能は法令の制限に服することを明らかにし、

また、私権、したがつて所有権も公共の福祉に遵うものとしていることにかんがみれば、他人の土地を宅地として使用する必要のある者がなお圧倒的に多く、しかも宅地の不足が甚だしい現状において、借地権者を保護するため、前述のごとくに解せられる借地法4条1項の規定により、土地所有者の権能に制限を加えることは、公共の福祉の観点から是認されるべきであり、

また、借地法の右規定を前述のごとくに解しても、土地所有者は、正当の事由ある場合には更新を拒絶して土地を回復することができるのであるから、所論のごとく、所有権を単なる地代徴収権と化し又はその内容を空虚にするものと言うことを得ない。所論は、ひつきよう、独自の見解の下に、原判決に憲法その他の法令の解釈を誤つた違法ありとするものであり、採用することを得ない。
 
 原審は、挙示の証拠により認定した事実に基づき、本件当事者双方の事情を比較考量の上、上告人の更新拒絶には正当の事由がないと判断したものであり、右認定ならびに判断は相当である。所論は、原判決に憲法29条及び法令の解釈適用を誤つた違法があるというが、ひつきよう、原審が適法に行つた事実の認定ならびに法的判断を非難するに帰し、また引用の判例は本件の場合に適切でない。論旨は、いずれも採用することを得ない。

参照法条 借地法4条1項,憲法29条1項,憲法29条2項

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