最高裁判所判例
事件番号 昭和48(ク)105
事件名 増改築許可申立事件の申立許可決定に対する抗告の棄却決定に対する抗告
裁判年月日 昭和49年9月26日

抗告理由一について。
 借地法八条ノ二第二項に規定する借地条件の変更の裁判は、増改築を制限する旨の借地条件が存する場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わなかつたときに、裁判所が借地権者の申立によりその増改築についての土地所有者又は賃貸人の承諾に代わる許可を与えるものであり、裁判所は、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮して、当事者の意思に拘束されることなく、土地の合理的な利用のため、後見的立場から合目的的に裁量権を行使して裁判し、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件の変更、財産上の給付、その他相当な処分を命ずるものであつて、その性質は本質的に非訟事件であるから、公開の法廷における対審及び判決によつてする必要はない。

このことは、当裁判所昭和三六年(ク)第四一九号同四〇年六月三〇日大法廷決定・民集一九巻四号一〇八九頁、昭和三七年(ク)第二四三号同四〇年六月三〇日大法廷決定・民衆一九巻四号一一一四頁、昭和三九年(ク)第一一四号同四一年三月二日大法廷決定・民集二〇巻三号三六〇頁の趣旨に照らして明らかである。従つて、公開の法廷における口頭弁論に基づかないでなされた原決定に憲法三二条、八二条違反の違法はない。その余の点に関する所論は、原決定の違憲を主張するものではないから、適法な抗告理由にあたらない。それゆえ、論旨は採用することができない。

 同二について。
論旨は、憲法二九条違反をいうが、その実質は、原決定における裁量の不当ないし単なる法令違反を主張するにすぎないものであつて、民訴法四一九条ノ二第一項所定の適法な抗告理由にあたらない。
 よつて、本件抗告を棄却し、抗告費用は抗告人に負担させることとし、主文のとおり決定する。

参照法条 憲法32条,憲法82条,借地法8条ノ2第2項

羊不動産・立会人事務所株式会社